安藤 耕司

東京女子大学 現代教養学部 数理科学科 情報理学専攻

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情報理学専攻について

新入生から下記のような質問がありました。 確かに「情報理学専攻」という名称は珍しいと思います。 (就活のときにも聞かれたというOGもいます。) 良い機会なのでHPに回答を載せることにしました。(安藤の個人的な意見です。)

質問

一年次に選択した理科科目が卒業論文に影響するのか、物理学概論・化学概論・生物概論を選んだ生徒がそれぞれどのような研究をするのかを教えていただけると嬉しいです。

また、情報理学専攻という名が珍しいのもあり他大学で似たような研究をしている学部を上手く検索できず研究例が全く分からない状況です。より多くの研究例を見てみたいので近い内容を学習、研究している大学学部があったら教えていただきたいです。


回答

私たち教員としては、概論の選択が卒業研究のテーマに大きく響くことは想定していません。むしろ広く学んで欲しいと考えています。実際、履修した科目によって3年次後期以降のゼミの配属が影響を受けることはありません。

情報理学専攻という名称は確かに珍しいと思います。これは、旧来とは異なる新しい教育理念に基づいているからです。それは、情報科学、数学、コンピューターを駆使して、自然現象や社会現象を分析できる力を養おうというものです。例えば、私自身は旧来の理学部化学科で学びましたが、当時はコンピューターシミュレーションによる化学は未成熟な分野で、大学教育には殆ど取り入れられていませんでした。しかし、最近話題の量子コンピューターでは、コンピューター化学は最も重要視されている応用領域の一つです。

近い内容の大学・学部が見つからないのは、同様の理念で学部や専攻として統一されている例が希少だからだと思います。しかし、例えば旧来の化学系学科の中にコンピューター化学を研究している研究室が一つある、という例は沢山あります。物理や生物も同様です。 例えば、「理論物理学」「計算物理学」「理論化学」「計算化学」「数理生物学」「計算生物学」といったキーワードで検索すると、近い研究が探せると思います。

情報理学専攻での研究については、 数理科学科の新入生Welcomeページ から関連情報を辿れます。(私の教員ページは地味で、研究については英語論文へのリンク位しかありません。これは改善の余地があると思っています。 研究の基礎部分を一般市民向けに紹介した講座のページが 武蔵野地域五大学共同教養講座 (2018年度) コンピューター化学への誘い にあります。)

情報理学専攻の、昨年度の卒論テーマを以下にリストします。(今年度発行の大学案内の原稿から取りました。最初の7つが情報系、最後の6つが物理と化学です。生物学の山口先生は新任なので入っていませんが、上記リンク(数理科学科の新入生Welcomeページ)の教員ページや推薦図書を参照して下さい。推薦図書にはご自身の著書が含まれています。)

長くなってしまいましたし、少し専門的過ぎる部分もあったかも知れませんし、聞きたいことに答えられているかどうかも少し心配ですが、参考になれば幸いです。


E-mail: ando_k @ lab.twcu.ac.jp